短距離走で速くなるためのウェイトトレーニング後の重要な筋トレとは?

短距離走で速くなるためのウェイトトレーニング後のやっておきたい筋トレ

短距離走で速くなるためのウェイトトレーニング後のやっておきたい筋トレ

陸上競技の短距離(ショートスプリント)種目において、筋力トレーニングは欠かすことのできない練習メニューです。

 

特に、ウエイトトレーニングでは、重さを自由に調節できるため、負荷をかけたい箇所を効果的に鍛えることができます。

 

少し前までは、
「ウエイトトレーニングをすると体が重くなって、逆にスピードが落ちる」
「ウエイトトレーニングをすると怪我をしやすくなる」
といった噂から、ウエイトトレーニングを行わない風潮がありました。

 

しかし、現在ではその考えは完全に撤廃され、今や短距離選手でウエイトトレーニングをしない選手はほとんどいません。

 

2017年に行われたリオオリンピックにて、個人種目で200m走に出場し、4×100mリレーでは見事銀メダルを獲得した、飯塚翔太選手は、特にウエイトトレーニングを重要視しています。

 

1週間のうち、ウエイトトレーニングが6・7割で、走るメニューが3・4割だと語っています。

 

通常、走り込む割合が増える冬期トレーニングでも、土日だけしか走らないそうです。

 

ウエイトトレーニングでスピードが落ちる原因

1の力でしか地面を押せなかった選手が、ウエイトトレーニングをしたことで10の力で地面を押せるようになれば、短距離選手にとって確実にプラスになります。

 

しかし、なぜスピードが落ちる選手がいるかというと、筋力が付いたため、重心移動のタイミングがずれてしまい、思い通りに体を使えなくなってしまうからです。

 

短距離選手の場合、重い重量で5〜8回程の回数をこなすトレーニングが基本となります。

 

重い重量でトレーニングをするときは、当然重りを上げるスピードは遅くなります。

 

パワーを付けるためのトレーニングなので当然のことなのですが、このロースピードが、全力疾走時のハイスピードとのズレを生じさせてしまうのです。

 

ウエイトトレーニングで怪我が増える原因

また、怪我をしやすくなるという現象も、重心移動が関わってきます。

 

短距離選手で多い怪我といえば、圧倒的に、ハムストリングスの肉離れです。

 

このハムストリングスの肉離れというのは、疾走中に、必要以上に地面を蹴りあげてしまうことで起きることが多い症状です。

 

ウエイトトレーニングでパワーがつくと、地面を強く押せるようになるので、重心移動のタイミングがずれてしまい、接地時間が長くなる傾向があります。

 

冬期トレーニング明けの3月・4月頃に肉離れが多くおこります。

 

寒さにより全力疾走をしてこなかった体が、急にスピードを上げたことで、重心移動が間に合わず、必要以上に地面を蹴りあげてしまうためです。

 

 

ウエイトトレーニングのデメリットを解消する筋トレ

この現象を解消させるために、4つのトレーニングをご紹介します。

 

垂直ジャンプ

1つは、

  • 垂直ジャンプ

です。

 

ウエイトトレーニングで、種目を終えるごとに、その場で全力の垂直ジャンプを行うようにしましょう。

 

更に、ジャンプをする際には、ウエイトトレーニングで鍛えた箇所を、ジャンプに結びつけるイメージで行ってください。

 

例えば、

  • スクワットを行った直後には、臀部や腸腰筋等をジャンプに結びつけるイメージ
  • クリーンを行った直後には、背筋や臀部を意識しながらジャンプ

をします。

 

全力で行うジャンプは、全力疾走時のイメージと結びつきやすいため、鍛えた筋肉を走りに転換させるためのトレーニングです。

 

筋肉を意識できるようになったら、連続で5回ほどジャンプをしましょう。

 

その際、着地からジャンプまでの時間をできるだけ速くし、一瞬で飛び上がるようにしましょう。

 

必要以上に地面を押す動作を体に覚えさせないようにするためです。

 

ボックスジャンプ

 

ボックスや台を置いて、それにジャンプして跳び乗るトレーニングです。

 

単純なトレーニングではありますが、瞬発力を鍛えるうえで、非常に有効なトレーニングとなっています。

 

ジャンプする動作は、

 

  • 大殿筋
  • ハムストリングス
  • 大腿四頭筋
  • 下腿三頭筋

 

の最大筋力を発揮するスピードがなければ、高くジャンプすることができません。
ボックスジャンプのトレーニングをすることで、そのスピードをアップさせることができます。

 

詳しいやり方はこちらを参考にしてみてください。

 

 

 

ハドルまたぎ

もう一つは、

  • ハードルまたぎ

です。

 

ハードルを5台程並べて、1台ずつまたいでいきます。

 

通常、ハードルまたぎはスピーディーに、軽やかに行うイメージですが、重心移動のためのハードルまたぎでは、スピードは二の次です。

 

ハードルをまたぐ際、軸足(地面についている方の足)は、かかとを付けたままにしてください。

 

かかとを上げるのは、ハードルをまたぎ切る最後の一瞬だけです。

 

また、上半身はできるだけ捻らないように、正面を向けたまま行います。

 

かかとをつけたままで、更に上半身を捻らないようにハードルをまたいでいくことは、通常不可能です。

 

この動作に、体の倒れ込み、すなわち重心移動を加えることで、ハードルをまたいでいけるようになります。

 

かかとをつける、上半身を捻らないというのは、手脚の振りだけでの重心移動をごまかすことを防ぎ、しっかりと体全体で重心移動を行う動作を身につけるためのものです。

 

ワンレッグデッドリフト

 

これらのウエイトトレーニングでアップした筋力ですが、走りに活かされなければ、無駄な努力に終わってしまいます。
その筋力を走る動作に活かすためのおすすめのトレーニングが

  • ワンレッグデッドリフト

です。
詳しいやり方などはこちらをご覧ください。

 

 


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