「グライド投法」と「回転投法」のどちらを選ぶべきか

砲丸投げの投てき方法には2種類ある

「グライド投法」と「回転投法」のどちらを選ぶべきか

砲丸投げには
  • 「グライド投法」
  • 「回転投法」

の2種類の投てき方法があります。

 

現在の国際基準のルールでは、グライド投法と回転投法のどちらも認められています。

 

多くのスポーツにおいて、最新のフォームが流行しだすと、古くからある方のフォームの使い手は衰退していきます。

 

しかし砲丸投げの場合、回転投法という新しいフォームが浸透した今でも、多くの選手がグライド投法による投てきを行い続けています。

 

特に、日本では未だにグライド投法が主流となっており、回転投法メインの選手はまだまだ少ないというのが現状です。

 

では回転投法が優れていないのかといえば、そのようなことはありません。

 

海外の選手に目を向けると、日本とは比べ物にならないほどの人数が、回転投法メインで砲丸投げを行っています。

 

国内の砲丸投げ選手のなかには、記録を伸ばすために、回転投法への転向を考えているという方も多いでしょう。

 

そこで今回は、砲丸投げにおける「グライド投法」と「回転投法」の特徴や、メリット・デメリットについて解説していきます。

 

グライド投法とは

砲丸の投てき方法として、古くから存在していたのが「グライド投法」です。

 

回転投法の登場以来、徐々に使い手の減ってきている投てき方法ですが、日本国内ではまだまだ主流と呼べる方法です。

 

グライド投法は、1950年代に活躍した偉大な砲丸投げ選手、パリ―・オブライエンによって考案されました。

 

そのため、考案者のオブライエンの名前を取って「オブライエン投法」と呼ばれることもあります。

 

オブライエンはグライド投法の開発により、1959年までに15回もの世界新記録を樹立しています。

 

オブライエンの登場まで、砲丸投げは前方に向かって、砲丸を押し出すように投げるという投てき方法が一般的でした。

 

しかしオブライエンが考案したグライド投法は、投げる方向に向かって背を向けた姿勢をとるという、当時としてはかなり特殊な投てき法だったのです。

 

グライド投法は、進行方向に背を向けた状態から準備動作に入り、勢いよく振り向いたときの加速と肩の動きを利用して砲丸を射出します。

 

  • グライド投法のメリットは「安定性がある」

ということです。

 

回転投法はプロが行っても不安定さの残る投法で、ちょっとした不確定要素で、飛距離が大きく変わってしまいます。

 

しかしグライド投法を磨き上げれば、常に一定の飛距離を確保することができるようになり、どの大会でも安定した成績が残せるようになるのです。

 

  • デメリットとしては「回転投法より飛距離が出にくい」

というものがあります。

 

しかし勘違いすべきでないのは、

  • グライド投法は決して「回転投法に勝てないというわけではない」

という点です。

 

たしかにグライド投法は、回転投法より飛距離が短くなりがちですが、実は追いつけないほど絶望的な差が生じるというわけではありません。

 

現に、旧東ドイツのウルフ・ティンマーマン選手は、グライド投法を用いて23m06という大記録を打ち立てています。

 

この記録は、現在でも世界記録第2位という偉大なもので、グライド投法が決して回転投法に負けていないという、確かな証拠になっています。

 

グライド投法の動画

 

 

 

回転投法とは

グライド投法に変わり、世界的に主流となりつつあるのが

  • 「回転投法」

です。

 

リオオリンピックで、金メダルを獲得したことでも記憶に新しい、ライアン・クラウザー選手を始め、世界で活躍する選手の多くが回転投げに移行しています。

 

日本では、まだまだ指導者不足の感が否めない投法ではありますが、もしもアナタがグライド投法に限界を感じているなら、思い切って回転投法に転向するというのもひとつの手段でしょう。

 

回転投法は、その名の通り、全身を回転させて砲丸を射出する投てき方法です。

 

グライド投法と同じように投げる方向に背を向けて立ち、足運びによって全身を一気に回転させて遠心力を増します。

 

動作開始から砲丸をリリースするまでの、砲丸移動距離がグライド投法の1.44倍になるため、従来より長く加速できる投てき方法として脚光を浴びています。

 

長く加速できるということは、それだけ遠くまで砲丸を飛ばせる可能性が高くなるということです。

 

事実、1960年代に活躍したランディー・バーンズ選手は、回転投法を使って23m12の世界記録を打ち立てており、1990年に出されたこの記録は未だに塗り替えられていません。

 

ただし最新のスポーツ科学では、回転投法の効果は今まで考えられていたほど、強力ではないという研究結果も出ています。

 

確かに動作開始からリリースまでの移動距離は、1.44倍になりますが、実は投げ局面における砲丸移動距離には、大差がないことが分かってきたのです。

 

加速時間が長くなるのは、あくまで準備局面のみなので、現在では砲丸の総移動距離が、そのまま記録に結びつくわけではないと考えられています。

 

回転投法の動画

 

 

 

結局どっちが良いの?

選手のポテンシャルや向き・不向きにもよるため断言はできませんが、現時点では「グライド投法」が有利という考え方もできます。

 

確かに世界的では回転投法が主流になっていますが、日本では今でもグライド投法の使い手のほうが圧倒的に多いため、回転投法を的確に指導できる指導者が少ないという事実があるためです。

 

世界的にも回転投法を「不安定な投げ方」だと判断し、グライド投法に戻す選手が後を絶ちません。

 

かつて世界記録保持者のランディー・バーンズ選手が広めた回転投法ですが、彼のように完璧な精度でこなせるようにならなければせっかくの回転投法も宝の持ち腐れになってしまうでしょう。

 

ハッキリ言って、グライド投法と回転投法の間に、飛距離の差はほとんどありません。

 

回転投法の方が若干優れているとはいっても、それは「安定性」や「国内の指導者不足」というデメリットを補うほどのメリットではないのかもしれません。

 

どちらを選ぶかは、最終的には個人の判断に委ねられます。

 

しかし
「回転投法に変えたからといって、劇的に飛距離が伸びるわけではない」
ということは頭の片隅に入れておいてください。

 

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