走り幅跳びの踏み切りを力学的に考えてみる

【走り幅跳びの踏み切りに最適な角度はどれくらいなのか】

走り幅跳びの踏み切りを力学的に考えてみる

分解して考えると、走り幅跳びの一連の動作は4つに分けられます。

それは

  1. 助走
  2. 踏み切り
  3. 空中
  4. 着地

という4局面であり、ルールに則って走り幅跳びを行う限りこの4局面以外のプロセスを踏むことはありません。

 

このうち「踏み切り」は跳躍距離に最も影響を与える局面です。

 

例えば「空中」の局面で行えるのは空気対抗を減らすための体制維持であったり、バランスの維持と着地の準備くらいしかできることがありません。

 

しかし踏み切りには明確な良し悪しがあり、ちょっとした踏み切りのミスが跳躍距離を大きく落としてしまうということも珍しくはないのです。

 

では「良い踏み切り」を行うためには何をすればよいのか…細かいポイントはありますが、

  • 最も重要なのが「踏み切りの角度」

ではないでしょうか。

 

スポーツ科学の専門家の間では、走り幅跳びの跳躍距離は踏み切りの角度で決まるという考え方が主流になってきています。

 

どれだけ助走が上手くとも踏み切りの角度が悪ければ全てが台無しです。

 

助走の勢いを活かすためには、適切な踏切角で跳ぶ必要があるのです。

 

稀に「走り幅跳びの適切な踏切角は45度」とする意見もありますが、厳密に言うとこれは誤りです。

 

たしかに物体をできるだけ遠くに飛ばすために45度という角度は適切ですが、

  • 助走をつけた人間が45度の角度で跳ぶことは実質不可能

だからです。

 

立ち幅跳びであれば45度を狙って飛ぶのも良いですが、走り幅跳びにおける最適踏切角は別に計算する必要があるといえるでしょう。

 

ただ、適切な踏み切り角度は助走スピードや選手の身長によっても違うと考えられます。

 

そのためプロの選手ならともかく、アマチュアで自分の最適踏切角まで計算している選手はそう多くないでしょう。

 

実際問題、適切な角度を知ったところでいきなりその角度を再現できるというわけでもないので、選手各人が自分に最適な角度を計算する必要性は薄いといえます。

 

代替案として、

  • 一般的な選手は「20度」を踏切角の目安

とするのがよいでしょう。

 

走り幅跳びで記録を残している選手の多くが20度前後の踏切角で跳躍しているため、この角度が上級者の平均値であるといえるためです。

 

角度が浅すぎると着地までに充分な時間を稼げず、角度が高すぎると助走のエネルギーを上方向に逃がしてしまうことになります。

 

そうしたロスを防ぐための解決策として、「20度」の踏切角度を頭に入れておいて損はないはずです。

 

 

踏み切りからの角度を上げるには?

 

踏み切りからの上への角度を上げていくには、踏み切りの手前が重要になります。
踏み切り前に重心を下げ、踏み切りのときに重心を上げていきます。
それにより階段を登るような形になり、上への角度がついていくようになります。

 

この踏み切り手前で重心を下げて、踏み切りで上げていくには

  • 強い脚の筋力
  • 体制を崩さないバランス力

が必要です。

 

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【走り幅跳びの踏切板はどこを狙って踏むべきか】

 

良い踏み切りを行うためには、角度だけでなく位置も重要です。

 

跳躍そのものは上手くいっているのに踏み切りの位置が悪かったために入賞ならず…というような勿体ない出来事は公式の大会でもよく起こります。

 

跳ぶことばかりに気を取られず、しっかり踏み切りの位置を守るよう普段から意識しておくことが大切です。

 

走り幅跳びの踏み切りは、ご存知の通り「踏切板」の上で行われます。

 

20pの踏み切り板の上ならどこを踏んでも構いませんが、その先に置かれている10pの粘土板に少しでも触れてしまった場合はファウルとなります。

 

計測は踏切板の位置から行われますので、理想論だけでいえば踏切板と粘土板の境目ギリギリのところで踏み切ることができればベストということですね。

 

しかし実際にはそううまくいきません。

 

仮に踏切板20pの位置で踏み切ると、足に角度がついたはずみで必ず粘土板に触れることになるためです。

 

そのため現実的に考えると、踏み切り板の中心10p超あたりを狙って踏むのが距離・リスク共にバランスが良いといえるでしょう。

 

普段から踏切板を用いた練習をしっかりと行い、踏切板までの歩数や歩幅を体に覚え込ませておくことがファウルを防ぐコツにもなります。

 

走り幅跳びの踏み切りでの足の使い方動画

 

 

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