走り幅跳びにおけるスランプ克服法について

スランプは誰にでも起こりうるもの!

走り幅跳びにおけるスランプ克服法について

中学3年間や高校3年間、それ以降においても、おそらく誰しも陥る可能性があるのがスランプではないでしょうか。

 

中学もトップクラスで、高校・大学とトップクラスの人はいます。

 

しかし、中学の時は全国大会まで行ったのに、高校に入ったら名前を聞かなくなったというのはよくあることです。

 

また、中学時代の記録を越せなくなった人や、高校1年生から記録がほぼ伸びていないという人もよくいます。

 

そのような苦しい状況にある中でも、一生懸命練習しているのだけど、記録が伸びないという人に向けて、事例を交えてスランプの打開のうちの1例を紹介したいと思います。

 

スランプの原因を解明して、解決に導こう!

スランプと聞くと全くいいイメージがありませんが、乗り越えることができれば、必ずと言っていいほど前の記録だけでなく、精神的にも肉体的にも前の自分より成長することができます。

 

しかし、大抵の人は、スランプを超えられない壁と感じて結局挫折してしまいます。

 

大会が迫っているのに記録が伸びない、練習をあれだけ積んだのに記録がほとんど伸びないなど、スランプに陥っている当人はとんでもない苦しみの中にいるのは間違いありません。

 

もがけばもがくほど、縺れた糸が絡まり抜け出せなくなってしまうかもしれません。

 

その糸が絡まる原因には、

  • メンタル的要因
  • 動作的要因

のどちらか、または両方が潜んでいるはずです。

 

これを解明し、解決することで一歩前に進むことができるのです。

 

 

メンタル的要因って?

スポーツは心・技・体が一体となることによって、大きな記録を打ち立てることができます。

 

そのため、技術や体力があったとしても、心の部分、つまりメンタルが弱いと、ここ一番という時や重要な試合で勝つことが難しくなってきます。

 

これは普段の練習の時でも当てはまると思います。

 

気分が乗らない時の練習って、体が重いと感じるはずです。

 

当然疲れもあるからかもしれませんが、それだけではないはずです。

 

気分が乗らないという気持ちが心を太らせ、体を重くさせているのです。

 

試合においては、「勝たなければ・・・!」、「入賞しなければ・・・!」のような「〜しなければならない」というmustの思考は、時として体を固くさせパフォーマンスを低下させます。

 

この思考は完璧主義の人に多く、この思考の渦に嵌ると抜け出せなくなります。

 

では、この思考をどのように変換していけばいいのでしょうか?

 

一つの方法としては、「〜しなければならない」という思考から「〜できる」という思考に語尾を変えてあげることです。

 

比べてみると・・・

 

「私は6m跳ばなければならない!」
「私は6m跳べる!」

 

前者の方は鬼気迫る感じで重苦しいですよね。

 

でも後者はある意味楽観的でも、自分に自信を持っている。

 

そんな感じを受けとることができます。

 

この

  • 楽観的かつ自分に自信をもっている状態

というのが、パフォーマンスをする上で重要な気持ちの持ち方です。

 

試合時のプレッシャーを軽減するためにも有効です。

 

メンタル面で悩んでいる人がいるならば、自分が試合時にどのような思考をしているのか、思い返し分析してみることが大切です。

 

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動作的要因って?

スランプから抜け出せない要因のもう一つとして

  • 動作的要因

があります。

 

これは単純に、パフォーマンスの動作のやり方・とらえ方が間違っているということです。

 

例えば、走り幅跳びの助走の最後は、駆け込むようにスピードアップをしてきますが、助走の最後の3歩だけ速くすればいいと勘違いをしている等が当てはまります。

 

つまり、助走を自分なりの解釈をしてしまい、それが遠くへ跳ぶことができる助走だと勘違いしているのです。

 

ある意味、自己流が悪い方向に行ってしまった場合でもあります。

 

しかし、ここに気付くことができれば、修正することは可能です。

 

今回の例で行くならば、どういう助走が遠くへ跳ぶことができる助走なのかを見つけ、それを習得することです。

 

当たり前のことかもしれませんが、自分のやり方というのはとても居心地が良く、動作や練習が苦しくない方向へ行くことが多々あります。

 

また、そのやり方をして記録が出ていないということは、何か間違っている可能性があるというサインです。

 

記録が伸びない時は、動作の面でも見直すところがあるのかもしれないと、考える必要があるということです。

 

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スランプを克服した事例

Sさんの事例

一度スランプに陥ったが、復調した事例を紹介したいと思います。

 

競技歴

【小学生4年生〜高校生3年生の約10年間】
Sさんは小学生の時から陸上競技をはじめ、中学1年生から走り幅跳びを専門にしてきました。

 

中学1年生の時は5m20pで学年別で入賞することがありましたが、中学2年生では5m50p、中学3年生では5m55pと、全くと言っていいほど記録が伸びませんでした。

 

高校生になってから体が成長したこともあってか、6m03pと地区予選で入賞するレベルになりましたが、高校1年生の6m03pから思うように記録が伸びず、時には5m80pなどで終わることも多く、結局高校3年生の春までのベストは6m07p、大切な高校2年間でわずか4pほどしか伸びませんでした。

 

100mのベストは11秒4で、スピード的にはもっと跳べても良いはずでした。

 

Sさんの性格

Sさんの性格は真面目で、練習で手を抜くことはなく、日々のトレーニングを精力的にこなし、補強運動などの筋力トレーニングを欠かすこともありませんでした。

 

しかし、緊張のため大舞台で委縮し、パフォーマンスが低下するメンタルの弱さ(メンタル的要因)がありました。

 

Sさんの練習環境

学校に跳躍ピットも砂場もなく、部活にもコーチと呼ばれる人も存在しない状態で、動作の習得については自分自身で取り組まなければならない所がありました。

 

そのため動作の習熟度低く、自分なりの解釈になってしまうという処がありました(動作的要因⇒動作の習得不足、誤った動作の自己解釈)。

 

以上のことから、Sさんは練習には真面目に取り組むが自己解釈で突き進むところがあり、それが間違った方向に進んでしまい、走り幅跳びの基本動作の抜けや解釈の違いが生じていました。

 

また、誤った自己解釈により跳躍の基本動作が安定しないため、試合でのパフォーマンスが安定せず、それがまたメンタルに影響を及ぼしているという状況になっていました。

 

改善策

Sさんはどこがいけないのか分からないまま、日々黙々と練習をこなしていきましたが、改善するきっかけを掴むことになりました。

 

それは、県の合同合宿において、記録が伸びない原因は、助走にあるということに気づけたからです。

 

そこで学んだ知識を持ち帰り、今までの助走を振り返ってみると、足が流れていて、テンポアップもできていない助走になっていて、これを改善することに努めました。

 

そして、助走が安定することにより、踏切動作も安定し、高校3年生の春には6m23pとベストを更新することができました。

 

しかし、大舞台でのメンタルの弱さという欠点がありました。

 

そこに関しては、寝る前にメンタルトレーニングを行い、常に跳べる自分と上手く行かなかった場合の対処法を7:3の割合でイメージする練習をしました。

 

その結果、県大会では6m48pとベストをさらに更新し、8位入賞をすることができました。

 

 

まとめ

Sさんは、自分の真面目な性格により、内に入る傾向があり、自分を客観視する目があまりありませんでした。

 

しかし、県の合同合宿など自分が思っていなかった視点を取り入れることにより、自分を客観視し、何が足りないのかを把握することができました。

 

そこからメンタル面においても、どうやったらベストなパフォーマンスに至るメンタル状態に至れるのか、ということを追求しています。

 

つまり、スランプを脱するためには、自分を客観視し、自分には今メンタル面、技術面、身体面で何が足りないのか、どうすればより遠くに跳べるのかということを丁寧に考えいくことが大切ということです。

 

 

最後に

今回は事例を交えて、メンタル的要因、動作的要因という観点からスランプを脱していくのかについて述べました。

 

スランプの状態はかなりつらい状況です。

 

しかし、スランプもこう捉えなおしてみるとどうでしょうか。

 

「記録が伸びないということは改善点がたくさんあるということ、それはつまり自分自身の伸びしろである」とそう考えると前向きにスランプに向き合っていけるはずです。

 

そしてスランプを乗り越えた時、そこには以前の自分より何倍も成長した自分がいるでしょう。

 

そこを目指して、自分自身の心・技・体を省みる癖をつけてみてください。

 

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