やり投げと「オーバースロー」を関連付けて理解する上達法

やり投げのフォームはオーバースローと同じ!?

やり投げと「オーバースロー」を関連付けて理解する上達法

やり投げ経験のない人は、やり投げのフォームを難しく考えすぎる傾向にあります。

 

すでにやり投げを始めている選手のなかにも、最初の頃は
「特殊な投げ方」
「普通にボールを投げるのとは全く違う」
と思っていた方も多いのではないでしょうか。

 

しかし実のところ、やり投げの投てき方法は、さして難しいものではありません。

 

もちろん大会で記録を残すような飛距離を出すためには、かなりの練習を積む必要がありますが、初心者でもちょっとしたコツを知っていれば、10数メートルくらいならかんたんに飛ばせるようになるでしょう。

 

飛距離を気にせず、ただ投てきを行うだけであれば、要領のいい人なら始めたその日のうちにクリアできます。

 

誤解を恐れずに言えば、やり投げの投てき方法は
「ボールを投げる動作と同じ」
です。

 

誰でも一度は、野球ボールくらい投げたことがあるかと思いますが、最低限ボールを投げる動作ができれば、やり投げはすぐできるようになります。

 

野球の世界では、腕を振りかぶってボールを投げることを「オーバースロー」といいますが、やり投げの動作もほとんどオーバースローと同じなのです。

 

初心者がやり投げに抱く「特殊な投げ方」というイメージは、おそらく砲丸投げなどの似た陸上競技のイメージに引っ張られたものでしょう。

 

確かに砲丸投げはルール上オーバースローが禁止されているため、全身をひねって投げる「グライド投法」などの投げ方が用いられます。

 

その点やり投げは、普通にボールを投げるときに使うオーバースローを、ちょっと変形させるだけで良いのでイメージが掴みやすいんです。

 

 

野球のオーバースローとの最大の違いは「テイクバックの有無」

やり投げのフォームはオーバースローとほぼ同じ…とは言いましたが、もちろん全く同じというわけではありません。

 

共通しているのは
「投げる際の腕の軌道」
という大まかな部分で、細かいルールやポイントは色々と違ってきます。

 

野球のオーバースローとの最大の違いを挙げるとすれば、それは

  • 「テイクバックを取るかどうか」

という点に尽きるでしょう。

 

テイクバックとは、野球選手がボールを投げる際、反動をつけるために腕を後方に一旦引く動作のことです。

 

野球で「大きく振りかぶって投げました!」なんて実況を聞いたことがあるかと思いますが、まさに「振りかぶる」という動作はテイクバックのために行われます。

 

一方、やり投げ選手は野球とは違い、テイクバックを取りません。

 

助走をつける段階ですでに腕を引いた状態にして固定しており、踏み切り線の直前で投てきするまで腕は一切動かさないのです。

 

腕を発射台に例えるならば、スタート地点ですでに発射準備が整っている状態です。

 

もし仮に、投てきする直前にテイクバックを取ってしまうと、せっかくの助走の勢いを殺すことになります。

 

助走によって前方に向いていたエネルギーを、テイクバックによって後方に引っ込めるわけですから、飛距離が伸びないことは想像するに難くありません。

 

つまり、やり投げ選手がテイクバックをとってしまうと、助走の意味が全くなくなってしまうのです。

 

野球経験者が、やり投げに転向するという話は珍しくもありませんが、野球経験が長い人ほどこの違いに苦労します。

 

物を投げるときにテイクバックを取るクセがついている人は、やり投げに転向するにあたってフォームの再確認を行いましょう。

 

小さな違いに見えるかもしれませんが、ここを理解していないとせっかくの強肩も宝の持ち腐れになってしまいますよ。

 

 

 

リリースのタイミングにも注意しよう

やり投げと通常のオーバースローとの違いのひとつとして、

  • 「リリースのタイミング」

にも注意を払いましょう。

 

ほんのコンマ数秒の違いですが、野球選手が行うオーバースローと、やり投げのオーバースローではリリースのタイミングが異なります。

 

野球選手の投球フォームを想像してもらうと解りやすいかと思いますが、野球では腕を体の前まで振り切ってからボールを手放します。

 

しかしやり投げ選手は、腕が頭を横切った時には、すでにやりを手放しているのです。

 

つまり、一般的にやり投げよりも野球のほうがリリースが遅いということになります。

 

このような違いは、投げた物の到達目標地点が異なるために生じます。

 

野球選手は、自分の前方にいる他の選手に向けてボールを投げますが、やり投げ選手は飛距離を伸ばすために、空中に向かって投てきを行います。

 

もしもやり投げでリリースが遅れると、やりがすぐ地面と接触してしまうため記録が伸びないのです。

 

野球経験者ならずとも、何かを投げるときには、腕を体の前まで振り切ってからリリースするという人が多いと思います。

 

  • やり投げはリリースのタイミングひとつで、記録に雲泥の差が出ます

ので、飛距離が伸び悩んでいる方はフォームだけに気を取られず、リリースポイントを見直してみてはいかがでしょうか。

 

やり投げ上達法

やり投げ専用のスパイクを購入するならこちらがおすすめ

やり投げで自己ベストを更新する練習法はこちら

やり投げ選手専用のサーキットトレーニングを学ぶにはこちら

7年間で13人もの生徒を陸上競技の日本一に育てた技術とは?

大会や本番で自分の実力を100%発揮する方法はこちら

関連ページ

やり投げに回転投法が無いのはなぜか
現在の国際基準ルールでは、助走からクロスステップをつけながら、やりを前方に真っ直ぐ投てきするというスタンダードな方法しか認められていません。 しかし実は、このような現在の投法とは全く違った「回転投法」がやり投げの世界にも存在していたということをご存知でしょうか。記録に残っているなかで、一番最初にやり投げの回転投法が確認されたのは1950年代のことでした。 名前は不明ですが、当時のスペインの選手がやり投げの大会で回転投げを披露したことが記録されています。
自宅でも出来るやり投げのトレーニング法は「筋トレ」が一番!
本格的にやり投げの練習をやろうと思ったら、それなりの設備が必要になります。やりを投げても問題ないほど広い空間が無ければ、練習はおろか安全面の確保すらできません。他のスポーツと比べて使用する道具自体が大きいこともあり、自宅で出来る練習法というのは限られてきます。しかし自宅では全くトレーニングができないかといえば、そのようなことはありません。多くのやり投げ選手は、練習の無い日には自宅やジムでの「筋トレ」を行っているのです。今回は、やり投げの選手が鍛えておくべき筋肉の種類と、有効な鍛え方について詳しく解説していきます。
やり投げの記録で追い風・向かい風が考慮されない理由
やり投げは「向かい風のほうが有利」だと論じられることが多いです。逆方向から風が吹いているというのに、どうして有利だと考えることができるのかお分かりになるでしょうか?その秘密は、やり投げで使用される「やり」という独特な投擲物の形状にあります。やりの胴体部分が向かい風を受けることで「揚力」を生む可能性があるからです。
やり投げの記録を伸ばす為には!正しい助走と投げ方について
やり投げの記録を伸ばす為に重要なポイントは、他の投擲競技やフィールド競技と同じく ・助走で得た力をやりに連動させる ・正しいフォームでやりを投げる この2点にあります。 やり投げは正しい助走と投げ方次第で記録が左右されるのです。正しい助走、ラストクロスの重要性、踏込みの重要なポイント、やり投射時の重要なポイント、やり投げは技術が記録に表れる、などについて紹介いたします。
やり投げでの助走スピードを上げる効果的なトレーニング方法とは?
やり投げは日本国内では競技人口も他の競技に比べると少ない傾向にあります。 その原因の1つとして、正しく指導出来る指導者が少ない事が挙げられます。 その為、独自のトレーニングを生み出して取り入れている選手も多くいるのです。 これには賛否両論ありますが、やり投げの正しい知識を身に付けた上で独自のトレーニングを行うのであれば良いと思います。 やり投げでの記録を伸ばす為に重要なポイントとは、 ・助走スピード ・正しいフォームでやりを投げる の2点にあります。 ここでは、この2点についてのトレーニング方法を紹介していきます。
やり投げの投射角は何度が適切?
やり投げの記録は理論上、初速度・投射高・投射角の3要素で決まるとされています。初速度は投擲した瞬間の速さ、投射高は投擲した瞬間の高さ、投射角は投擲した角度のことですね。やり投げの記録が投射角のみで決まるわけではありませんが、投射角が記録に大きな影響を与えることは間違いありません。今回はそのうち、「投射角」についての考察を行ってみたいと思います。
やり投げの記録と助走スピードは関係するか
ハンマー投げや砲丸投げとは違い、やり投げは「助走」を行う競技です。30メートルの助走距離を経て投擲へと至るのです。「助走」を上手く投擲力に変換できるかどうかがやり投げの記録を伸ばすカギになるわけですね。助走のスピードとやり投げの記録には密接な関係があるといえます。テクニックやフォームが完璧ならば助走が速いほどやり投げの記録は伸びますし、逆に助走のスピードが乗らなければ記録は一向に伸びないでしょう。
初心者でもわかる!やり投げのスパイクに関するQ&A
スローイングシューズのカタログ等を見てみると「砲丸投げ・円盤投げ用」と書かれているものが多く、やり投げだけ対象外になっているモデルが多いことに気がつきます。 どうしてやり投げだけ別扱いなのかというと、やり投げは三大投てき競技の中で唯一「スパイク」を使う競技だからです。 やり投げは、公式ルールによって回転投法が禁じられています。 そのため回転のしやすさが必要なく、より「投てきの瞬間のグリップ力」を追求したスパイクが使われるようになったのです。