走り高跳びには3種類の跳躍法がある
それぞれ
- 「背面跳び」
- 「はさみ跳び」
- 「ベリーロール」
と呼ばれるものです。
現在はルール上、3つのうちどの跳び方をしても問題ないとされています。
しばらく練習を積んでいけば、自分に最も適した方法が見つかるはずですが、走り高跳びを始めて間もない初心者は「一体どの跳び方が一番効率的なの?」と不思議に思ってしまうことでしょう。
そこで今回は、走り高跳びにおける3つの跳躍法の特徴とメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
背面跳び
背面跳びは、走り高跳びの跳躍法のなかでも、最も新しく生まれたものです。
世界で活躍する選手のほとんどが背面跳びを使っており、現在は最も主流となっている跳び方です。
背面跳びを行うためには、助走する時点から準備が必要になります。
助走の後半で大きく曲線を描くような形で走り込むことで、跳ぶ瞬間に体がバーに対して側面になるようにします。
こうして跳ぶとバーを越える瞬間に体が仰向けになり、上体をそらすことで、体がバーに当たることもなくスムーズに飛び越えられます。
現在使われている跳躍法のなかで、背面跳びが最も記録を出しやすい方法だと考えられています。
走り高跳びの選手として良い記録を残したいなら、まず背面跳びを練習するのが最もベター
だといえるでしょう。
いわば
- 背面跳びを選ぶメリットは「最も記録を出しやすい」
ということになります。
- 背面跳びのデメリットは、「怪我の危険性が高い」
という点です。
厚さの足りないマットを使用した場合や、勢い余ってマットからはみ出てしまった場合などは、頭部に大きなダメージを負う恐れがあります。
背面跳びを行うなら、万が一に備えて着地の練習もしっかりと行っておく必要があるといえるでしょう。
やや危険を伴う方法なので、背面跳びは中級者〜上級者向けの跳躍法です。
まだ走り高跳びを始めたばかりの選手や、小学生選手などは、走り高跳び自体に慣れるまで、他の跳躍法から練習するのが一般的です。
背面跳び動画
はさみ跳び
はさみ跳びは、バーを足でまたぐようにして跳ぶ方法です。
背面跳びが主流となった現在、世界大会で使用されることはほとんどありませんが、今や小学生や初心者向けの跳躍法としてはよく用いられます。
はさみ跳びを行うときは、バーに対して斜めに走り込み、踏み切った瞬間に振り上げ足をバーの向こう側に持っていきます。
振り上げ足がバーを越えたら、もう片方の足もバーに当たる前に、素早く引っ込めるようにして越えます。
この跳び方だと、着地する瞬間に足がマットにつくため、他の跳び方に比べて怪我の危険性が低い傾向にあります。
- はさみ跳びのメリットは「怪我の危険性が低いこと」「初心者でも簡単に覚えられること」
などが挙げられます。
そのため、小学校や中学校で行われる体育の走り高跳びの授業では、はさみ跳びの方法から教えるのが一般的です。
- デメリットとしては「背面跳びに比べて記録が出にくい」
という点があります。
はさみ跳びは1970年初頭ごろまで、走り高跳びにおけるメジャーな跳躍法でしたが、いつしか背面跳びの記録に勝てなくなってしまい、徐々に世界大会から姿を消していきました。
現在の走り高跳び世界記録は、1993年にキューバのハビエル・ソトマヨルが出した2m45pですが、この記録はもちろん背面跳びによって出されたものです。
世界で活躍する選手の技術をもってしても、はさみ跳びでは2m10p前後が限界ではないかと考えられています。
はさみ跳び動画
ベリーロール
ベリーロールは、はさみ跳びと同じく、正面跳びに分類される跳躍法です。
背面跳びが主流になる以前は、走り高跳びの跳躍法の主流として知られていました。
はさみ跳びよりは、高い記録を出しやすいとされていますが、残念ながら背面跳びほどの記録を望むことはできません。
ベリーロールとは、お腹を意味する「belly」と、回転を意味する「roll」が合わさった言葉です。
つまり、腹側からバーに飛び込み、体を回転させるようにしてバーを越える跳躍法です。
水泳選手の飛び込みのように、頭から一気に飛び越えるフォームを取ります。
頭からマットに飛び込むので、はさみ跳びよりは怪我の危険性が高いものの、前回りをする感覚で、簡単に受け身が取れるので、背面跳びよりは遥かに安全な跳躍法です。
そのため、ベリーロールははさみ跳びと同様、小学生や初心者に適した跳躍法として活用されています。
はさみ跳びに比べると、助走の加速力を跳躍に活かしやすいため、現在でもベリーロールで大きな大会に望む選手はいます。
ベリーロールを極めれば、学生大会や一般の陸上大会では、充分に素晴らしい実績を残すことができるでしょう。
現在までにベリーロールで最大の高さを跳んだのは、ソビエト連邦のワレリー・ブルメルという選手で、2m28pの記録を叩き出しています。
さすがに背面跳びの世界記録には届きませんが、もしもベリーロールでこれだけの記録をコンスタントに出せれば、現在でも充分に世界で戦える選手になることができるでしょう。
ベリーロール動画
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