ハードル走の熟練度で変わる目線の位置

【ハードル走中の目線はどこに向けていますか?】

ハードル走の熟練度で変わる目線の位置

鹿屋体育大学が公開したハードル走に関する論文にて

「熟練者の視線行動を初級者に学習させることで、初級者特有の歩幅長の変動を減少させる可能性がある」
という一文がありました。

 

ハードル走において「初心者と上級者では目線の位置が違う」とは昔から言われてきたことですが、目線の位置を変えることで上達に繋がるという発想は、なかなか面白いと思います。

 

そもそも皆さんはハードル走をはしっている間、目線をどこに向けていますか?

 

「走りながら自分がどこを見ているかなんて考えたこともなかった」という方も多いのではないでしょうか。

 

ハードル走の世界では、それほど「目線の高さ」を重要視する考え方が浸透していませんから、それも仕方のないことです。

 

目線の高さを変えることで、どれほどの効果が出るのかは未だ研究中とのことですが、先の論文によれば「初心者と上級者の目線は明確に違うことが判明した」と結論づけています。

 

効果の有無はさておくとしても、初心者と上級者に目線の違いがあるという事実は、何らかの合理性を持っているとみて間違いないのではないでしょうか。

 

 

【初心者は「ハードル」に目線を合わせている】

 

  • ハードル走に不慣れな初心者は、主に「ハードル」を見ながら走っている

といいます。

 

それも、飛び越えるべきハードル全てを見ているわけではなく「今飛び越えるハードル」に目線を合わせているのです。

 

ハードルに対する恐怖心からくる部分もあるようですが、どちらかと言えば「ハードル間の距離」を把握できていないことが、ハードルを注視する原因になっているようです。

 

慣れればハードル間を、一定の歩幅で駆け抜けられるようになるためリズム感で跳べますが、初心者はハードル間の歩幅が、3歩になったり4歩になったりと安定しないのでハードルを見ながら跳ぶしかないのです。

 

 

 

 

【中級者は「足」に目線を合わせている】

 

ある程度ハードル走に慣れてくると、ハードルそのものを注視する時間は減っていきます。

 

自分の歩幅でハードル間の距離を測れるようになるため、あまりハードルを見る必要がなくなってくるためですね。

 

ただ、その代わりに

  • 「自分の足」に目線を合わせる方が増えてくる

ようです。

 

足の位置がキチンと一定になっているか確認したり、飛び越える瞬間の足のフォームを注視してしまう傾向があります。

 

ハードルだけをジッと見るよりは余裕があるともいえますが、足ばかりを見ることでフォームが崩れる可能性もあるので注意が必要です。

 

 

【上級者は「前方」に目線を合わせている】

 

  • 上級者は「前方」に目線を合わせていることが多い

といいます。

 

オリンピックや世界陸上で活躍するプロの選手を見てみると、確かに目線が上下左右にブレている様子はありませんね。

 

ほとんどの選手が真っすぐに前を向いたまま、キョロキョロせずにトラックを走り抜けています。

 

初心者と上級者では、ハードルを見るタイミングにも大きな違いがあるようです。

 

上級者もハードルを見ることはありますが、
初心者が「飛び越える瞬間」にハードルを見るのに対し、上級者は「次のハードル」を見ています。

 

ハードルを飛び越えた瞬間には、次のハードルへの歩幅調整を脳内で行っており、常に先を読みながら走っているということになりますね。

 


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