ハードル間のスピード向上がハードル走の記録短縮となる理由とは?

ハードル間のスピード向上が記録短縮のカギ!

ハードル間のスピード向上が記録短縮のカギ!

知っていましたか?

 

実は110mハードルで重要だと思われているハードリング練習は、ある程度経験を積んだ選手の場合では、有効な練習方法とは言えないのです。

 

ある論文で、110mハードルの世界トップ選手のハードリングにかかる時間を調査した結果、世界のトップレベルの選手のハードリングタイムは約0.35から0.36秒前後であるという結果が出ました。

 

一方、世界とは大きなレベル差がある日本ですが、トップ選手のハードリングタイムはというと...なんと、約0.35から0.36秒前後だったのです。
※ハードリングタイム=踏切から着地までの時間

 

ここで注目していただきたいのは、110mhの日本記録と世界記録の差です。

 

実はこの2つの差は、約0.5秒あります。

 

ハードリングの技術は日本と世界で同程度の水準にあると考えられるので、この

  • タイム差は単純にハードル間のスピードの差から生まれてきている

と言えます。

 

つまり、ある水準までハードルの経験を積んだ場合、ハードリング技術の向上だけでは、記録を短縮することができないのです。

 

そこで、記録を短縮するためにはハードル間のスピードを上げるしかないといえ、

  • いかにハードル間を速く走るかが記録短縮のカギ

になることが分かります。

 

もちろん、

  • ハードルを始めたばかりの方は、ハードリング練習をすること=記録を短縮する近道

になるといえるでしょう。

 

ハードリンク技術についてはこちらを御覧ください。

 

 

しかし、ある程度経験を積まれた方は、ハードリング練習以外の練習をすることが記録の短縮につながるといえます。

 

そこで、今回はハードル間を速く走れるように練習で気を付ける3つの点について紹介します。

 

ハードルの高さを低く設定し練習を行う

ハードルを低くすると飛び越える時、重心の上下動が少なくなるので、ロスが少なくなり、高いハードルよりも速いスピードでハードルを飛び越えることができます。

 

日本では、一般的に、高校生から一般規格(106.7cm)のハードルを使用しますが、アメリカの高校生はジュニア規格(99.0p)のものを使用します。

 

これは、高いハードルを走力や筋力のない若いうちに跳ばせると、「スピード感」をもってハードルを跳び越える感覚が養われないからだそうです。

 

いつも高いハードルで練習しまうと、どうしてもハードルを跳び越えることに意識が集中してしまいます。

 

その結果、ハードル間を速く走る感覚を身に着ける妨げになってしまうのです。

 

ですので、

  • 普段の練習では、試合で使うものより低いハードルを使用する

ことで、スピード感を意識することが重要です。

 

しかし、あまりにも低い高さで練習を行うと、試合と練習で感覚のずれが生じるので、試合で跳ぶ高さより、「1つ低い高さ」で練習するのがオススメです。

 

ハードルの横を走るのも一つの方法です。

 

 

ハードル間のピッチを意識する

110mハードルのハードル間は9.14m。

 

100mハードルのハードル間は8.5mと間隔が決まっています。

 

基本的に、この間隔をどんなに遅い選手でも、どんなに速い選手でも、「3歩」で走ります。

 

つまり、

  • ハードル間のタイム=3歩を刻むタイム

であると言えます。

 

したがって、この3歩をいかに速く刻むかが、ハードル間のタイムを短縮することに繋がります。

 

そのために、まずはハードル間のピッチを高める練習をすること、ハードル間のピッチを常に意識することが重要だと言えます。

 

 

1台目までにいかにトップスピードを高めるかを意識する

世界のトップレベルの選手を例にすると、100m走では50mから60m付近でトップスピードが出るのに対し、ハードル走では、1台目でほとんどトップスピードに到達する傾向にあります。

 

つまり、ハードル走では、

  • 1台目までにどれだけスピードを高めるかが重要

となってきます。

 

また、1台目のスピードが速くなれば当然、2台目以降のハードル間を楽に走ることができ、ハードル間を速いピッチで刻むことが可能になります。

 

ですので、ただ単純に100m走など短距離のタイムを短縮するのではなく、スタートを速くすることがハードル走のタイム向上につながります。

 

実際に、110mハードルの元世界記録保持者のコリン・ジャクソン選手は、60m走でも世界大会で優勝するなど、スタートダッシュに優れていました。

 

このことからも、

  • スタートの速さ=ハードル走のタイム

に大きな影響を与えていることが分かります。

 

ハードル走全体のタイムを短縮するために、特に練習ではスタートから1台目を速くすることを意識しましょう。

 

 

具体的な練習方法

これまで、ハードル間を速く走るために、意識する3つのことを説明してきましたが、いまから具体的な練習方法について書いていきます。

 

まず、ハードル間のピッチを高めるために行う練習としては、5歩ハードルがおすすめです。

 

5歩ハードルとは、通常3歩で走っている、ハードル間を5歩で走る練習です。

 

この練習を行う時の注意点は、スピードを落とさず、いつもと同じスピードで走るのを意識することです。

 

練習例

  • (5歩ハードル:ハードル3台×5本、5台×3本)

 

また、ハードル間を普段の間隔より短く設定し、ハードル練習を行うのも効果的でしょう。

 

間隔の例

  • (男子:9.14m→8.5m、女子:8.5m→8.0m。速いピッチを刻めるようになったら徐々に間隔を広げていきましょう。)

 

次に、1台目までにトップスピードを出す練習としては、

  • スタートダッシュ(SD)
  • ハードルを置いてのSD

がおすすめです。

 

皆さんご存じだとは思いますが、SDとは、短距離選手が頻繁に行っているスタートの基本的な練習です。

 

ハードルを置いてSDを行う時は1台目にトップスピードの95%程度のスピードが出るように意識しましょう。

 

通常のSDを行う時でも、ハードルがあることを想定し、30m付近までにはトップスピードが出るように意識しましょう。

 

練習例

  • SD:30m×5、50m×3。
  • ハードルSD:スタートから1台目×5、3台目×3

※ハードルSDは距離ではなく台数を決めて行いましょう。

 

以上の練習ですが、初めはなかなか速いスピードでハードルを越えることができないかもしれません。

 

そのようなときは、ハードルを低く設定し、速いスピードで行えるようにしましょう。

 

くれぐれも高さにこだわって、速いスピードで行えないということがないように心がけてください。

 

最後に、

  • ハードル走の基本となってくるのはやはり短距離の走力

です。

 

ハードル間のスピードを高められるように、ピッチを刻む感覚を身に着けたり、スタートを上手くしたりすることは必要ですが、まずは走る力を高めれるよう、基本的な走り込みを欠かさず行いましょう。

 

このように、目的を持った練習が記録を伸ばしていくには重要になります。

 

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