逆脚の習得で400Mハードルのライバルに差をつけろ!

レースパターンとタイムの関係

逆脚の習得で400Mハードルのライバルに差をつけろ!

110mハードルに比べ、ハードルの技術より走力が重要と思われている400mハードルですが、走力だけではなくレースパターンがタイムに大きく影響を与えることが分かっています。

 

400mハードルのタイムの短縮のために、最も必要なのは言うまでもなく走力です。

 

400mを50秒で走れない選手が、400mハードルを50秒で走ることは不可能といってよいでしょう。

 

実際に世界のトップ選手であっても、400mとのタイム差は2秒ほどあります。

 

400mのタイムを400mハードルで越えることはできませんが、その差を少しでも縮める方法はあります。

 

その方法の1つが

  • レースパターンを改善すること

です。

 

日本国内外の400mハードル選手の疾走速度をハードル間ごとに分析し、レースを前半(スタートから5台目)、中盤(5台目から8台目)、後半(8台目からゴール)の3区間に区切ったところ、

  • 中盤の速度と記録との関係が最も深い

という結果が出ました。

 

このことから、中盤にいかにスピードを落とさないかが、レース全体の記録向上につながると言えます。

 

それでは、中盤にタイムを落とさないためには、どのようなことをする必要があるのでしょうか?

 

次の項目で見ていきましょう。

 

レース中盤の失速を抑えるための逆脚技術習得

さきほどはレース中盤のスピードの維持が、タイムに与える影響について説明しました。

 

では、どうしたら中盤の失速を少なくできるかをこの項目では説明します。

 

まず、必要なのはレース全体を走りきる体力です。

 

どれだけ、ハードリング技術が上手くても、400mを走りきる体力がないことには、中盤の速度の維持を行うことはできません。

 

次に、ハードリング技術の向上です。

 

ただハードルを上手く跳ぶ技術ではなく、

  • 利き脚ではない脚(逆脚)でハードルを跳ぶ技術

が、中盤の失速を大きく抑えることに繋がります。

 

通常、110mハードルなどは利き脚ですべてのハードルを跳びます。

 

400mハードルでも、経験値の少ない選手はすべてのハードルを利き脚で跳びます。

 

400mハードルはレースの距離が長いため、終盤に必ずスピードが失速します。

 

加えて、ハードル間が長いため、はじめのハードル間の歩数で走ることは難しくなります。

 

ですので、利き脚でしか跳べない選手は、どこかの段階で(15歩→17歩)といったように、ハードル間の歩数を2歩増やす必要が出てきます。

 

この際に、ストライドが大きく減少するので、走る速度を保つために、ピッチをかなり高めないといけないのですが、中盤〜後半の苦しい場面でピッチを一気に上げることはかなり難しいです。

 

結果、大きく速度が落ち込み、レース全体のタイムも落ちてしまうのです。

 

この時、逆脚で跳ぶことができれば、ハードル間の歩数の減少は「1」歩で済み、ストライドの低下とピッチの上昇を最小限に抑えることができます。

 

結果、中盤の速度の落ち込みを小さくすることができ、全体のタイム向上につながります。

 

このように、逆脚で跳ぶことは、レース中盤の速度の落ち込みを小さくすることができます。

 

次の項目では、逆脚で跳ぶための練習と逆脚を使いこなすための練習を紹介します。

 

 

逆脚技術習得のための練習方法

まずは、逆脚を習得するための方法について紹介します。

 

逆脚を習得するには、とにかく数をこなすしかないです。

 

導入的な練習として、110mハードルと同じハードル間でミニハードルを5台から10台並べ、ひたすら跳んでください。

 

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逆脚で跳べる感覚が掴めてきたら、フレキハードルなど、ぶつかった際に安全な道具を使用して跳んでください。

 

最終的に、通常のハードルを使い、徐々に高さを上げ、400mハードルの高さで跳べるようになるまで、何度も反復練習を行ってください。

 

この際の、注意点として、リード脚で跳び越えるのではなく、踏切脚で強く地面を蹴って跳び越えるようにしてください。

 

逆脚で、跳ぶことに慣れてきたら、次にハードルを跳ぶ脚を、利き脚から逆脚にスムーズに切り替えるためのトレーニングを行いましょう。

 

4歩ハードルがおすすめ

具体的な練習方法としては、

  • 4歩ハードル

がおすすめです。

 

  • 4歩ハードルとは、100mの中で6台のハードルを置き、利き脚を交互に変えて跳ぶ練習

です。

 

スタートから1台目は35mに設定し、ハードル間を11.5mで6台ハードルを置きます。

 

6台目からゴールまでは7mとし、ハードル間は4歩で走り1台ずつ跳ぶ脚を入れ替えて跳びましょう。

 

本数は、3本を1セットとし2〜3セット行うのがおすすめです。

 

この練習を行う時は、逆脚を使用するレース中盤を想定し、カーブで行うようにすることと慣れるまでは、低い高さで行うことに注意しましょう。

 

 

最後に

以上が、逆脚技術の習得のための練習方法になります。

 

普段、利き脚で跳ぶことが多いだけに、最初のうちは逆脚で跳ぶことに抵抗があると思います。

 

しかし、何回も練習していていれば、必ず逆脚で跳ぶことを習得できます。

 

あきらめず、何度も挑戦して、ライバルに大きな差をつけられるように頑張ってください。

 


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